日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

一年

・年頭に今年も一瞬だろうと思っていたが、本当に一瞬だった。このところ毎年実感はおなじである。年齢を経るほど歳月が過ぎ去るのが早い。死が近づくのも早い。
・とはいえ二月の『天はすべて許し給う』は遠い昔に感じられる。先日『死旗』の出演者に会ったら、その人は「(『死旗』は)九ヶ月くらい前のような気がする」と言っていた。芝居を通じて感じる時間は特殊である。日常とは別の時間が流れていて、ときにその感覚は混じり合い、歪む。自分にとっては『死旗』からの三ヶ月が長かった。一瞬だったが長かった。この三ヶ月がこの一年だったと言っても良いほど密度の濃い時間だった。いつになく人に会っていたからだが、そのよろこびをいまさら知った。ずいぶん損をしてきたな、とこの歳にして後悔している。
・来年は目がくらむほどの仕事量が待っている。遊んでいる暇はたぶんない。つらい。だができるうちにできるだけの仕事をしておかないと。貧乏暇なしとはよく言ったものだ。
・芝居は三つ。まずは四月の六団体合同公演である。一時間の中編で、十人のキャストが火花を散らす。近く詳細情報公開の予定。残りの二つはまたおいおい。舞台版『銀英伝』の続編にもご期待ください。
・アニメもいろいろ……こちらはまだ言えるものがない。そのうち情報公開されるだろう。年末年始はもっぱらこれで忙殺されている。
・自分は人に恵まれている。だから口が裂けても「つまらぬ人生」とは言えなくなった。せめて彼らの恵みになるよう努めたい。ありがとう、来年もよろしく。