日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

人と人とは

・シアタートラムで『同じ夢』を観て、アートステーションZで有志の方とおしゃべりをするという土日だった。
・『同じ夢』を一緒に観に行ったのはこの人で、今年で二十五年のつきあいになる。友人でいちばん古いのがここのマスターで、四十五年目。次が安藤さんで三十四年目。
・彼らとは年中顔をあわせているわけではないが、会えばひたすら駄弁っている。何を構える必要もなく、しゃべりたいことをただしゃべる。たとえ一年二年顔をあわせなかったとしても、会えばふたたびおなじように駄弁るだろう。自分にとっての「友人」とはそういうものだ。自分が自分でいられる場所。
・なにしろ今年で四十八だから、この先そういう人びととの出会いがあるかどうかもわからない。芝居を始めたのも脚本家になったのも同時だから今年で十七年目、一生ものだなという出会いもあれば、こいつとは出会いたくなかったという不運もあった。でも人生に無駄はない。良い出会いがあるから悪い出会いの判断もつくし、逆もまた同じ。とはいえ人間関係で痛い目に遭うと人に対してネガティヴになってしまうのはいくつになっても変わらない。
Mrs.fictionsのスローガンが「人と人とは出会わなければならない」というもので、とても好きな言葉だ。彼ら自身だけでなく他人も鼓舞する力がある。こちらも出会って良かった、一生ものだと思われる人間にならなければならないという気分になる。健全だ。不健全な自分を脱しようという気になる。
・そんな力に押され、森久さんに誘われるまま、アートステーションZに出かけてきたわけです。「こそこそうちわ会」というスタッフさんを中心にした集まりで、毎回マンガやアニメについて語り合っているのだとか。ちとしゃべりすぎたかなと反省しているが、楽しい時間だった。森久さん、お話しできた皆さん、ありがとうございました。