日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

わたしの生きがい

・前にいた劇団のお手伝いで来たのが最初だということはすでに書いた。美人で育ちの良さそうなお嬢さんだなという印象だったが、それだけでなくとても気持ちの良い心根の持ち主で、『サクリレギア』という芝居をやったときには「今回の殊勲賞は高木さんです!」と言って手製のケーキをプレゼントしてくれたりした。当時はまだ文学座の研究生だったから、こちらに媚びる理由はない。本心だということである。その後、先代ぬこが亡くなったときも励ましのメールを送ってくれたりし、自分はその種の恩義は浦島太郎の亀並みに忘れないので、今日がある。要は大事にして当然だということである。
・でまあ、何が言いたいかというと、生きがいっちゃあ生きがいなのですが、たいへんな役を与えてるというより、たいへんな役をインスパイアされるのです。これは平山もそうである。今回の客演のみなさんもそう。はじめに作者の発想ありきではなく、はじめに役者ありきなのですね、自分の場合。そして自分の作品でその人が輝くところが見たい、それが生きがいなのです。もっと言うと、自分の台本に出てくる役は、全員たいへんな役であるようです。今回、あらためて自分のホンと向き合ってみて、厄介だなあと自覚しました。鶴田さん大森さんもこんなんでよくやってくださってると思います。あらためて敬意を抱き直しました。すいません、めんどくさいライターで。いままで同様、たぶんこれからもめんどくさいです。そして自作を演出するということは、そんなめんどくさいホンとつきあいつづけなくちゃならないということで、ああめんどくせえ。
・そういうわけで画像はうちにいただいた更果の結婚祝いのお返しです。姐さんとこの丼とおなじ店の湯呑み。お茶が美味しくなります。