日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

少年のような恥じらいと、老人のようないやらしさで

・台風が去り、ここ数日のひどい気鬱も晴れた。やはりそういうことってあるのだな。されど夜ひとりでいるとまたいろいろと考えてしまい気が塞ぐ。困ったもんだ、仕事は山積みなのに。
俊彦さんにCDを作って以来、早川義夫ばかり聴いている。気取りもない、飾りもない、衒いもない、こんな純粋なうたはほかにない。嘘がない、どこを探しても真実しか見つからない。早川さんのうたは誰のものよりもするどく自分の心に突き刺さる。比較的近年の作品をひとつ。胸に痛い言葉が多く、早川さんの歌う姿に涙が出る。

・無駄に年齢を重ねてしまい、仕事はふつうにしているけれど私生活はゼロ、大人にも男にもなれず、こんなことで生きる意味はあるのかと途方に暮れていたが、そんなことはとっくのむかしに早川さんがうたにしていた。自分ひとりでないらしい。けれどどこへ向かおう、その行く先がわからない。

何年 大人を演じても
心の底は 変わらない
頭の中は 子供のまま
何を喜び 何を悲しむ
男らしく 出来なくて
人間らしく なれなくて
恥ずかしい 僕の人生よ
恥ずかしい 僕の人生よ


「恥ずかしい僕の人生」(作詞・作曲:早川義夫)より