日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

三月になった

・台本が書けないうえに、今週はプロットも書かなければならない。なんだかんだで用事も多いし、イライラするばかりで困る。
・金曜の夜は新川の「七針」という空間で武田俊彦(河本晃)さん主催の「新作オルタナティヴ2010」を観てきた。武田浩介、ルガンガ便一、夢月亭清麿×河本晃という顔ぶれ、すべて新作ネタおろし。プロの落語家は清麿師匠のみである。浩介とルガンガ便一さんのやつはどちらも非常に良く出来た綺譚で、清麿師匠曰く「文学ですねえ」という味わい。河本晃書き下ろしの「Freedom」は清麿師匠ご本人を色濃く反映させた落語家を主人公にした、いわばメタ落語。落語内落語の試みがえらく面白く、師匠もノっていたように見受けられる。でもいちばんスゴい見物だったのはオープニングアクトのCHIN-GO!という人で、いきなり普段着で出てきて、単なる身の上話をして終わるのである。そもそもどういう氏素性の人なのか、なんの説明もないのにそれだから、なにか異様な迫力がある。なんだかよくわからなかったが、いちばん面白かった。
・日曜はみのりさん出演の舞台を両国シアターXにて。当日の東京マラソンと連動した内容になっていて、出演者のおひとりがじっさいにマラソンに出場し、その足でそのまま舞台に参加するという実に鬼畜な企画である。結果は完走だそうで、当日の模様は劇中で上映されていたが、これにはもう笑うしかなかった。終演後、皆と近くの沖縄料理屋で飲む。金沢君は刑事の客演をやはりこのブログで知ったという。主宰にも客演の報告をしない刑事。奴の本意はどこにあるのか。とりあえず説教した方が良いのではなかろうか。