日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

[SEND ME A]

井上鑑「CRYPTOGRAM」がついにCD化されることになった(9/16発売)。快挙である。うれしい。何年待ったことか。「メフィストフェレスとのドライヴ」と「KICK-IT-OUT!!」は名曲です。一ヶ月後の発売がたのしみでならない。井上鑑をご存じない方、この曲なら聴いたことあるんじゃなかろうか。

・1stの「預言者の夢」と2ndの「CRYPTOGRAM」、3rdの「Splash」は中高生時代の愛聴盤で、死ぬほど聴いた。徹底的に作り込まれた音もさることながら、過剰なロマンティシズムとギリギリのスノビズムあふれる歌詞がとにかく素晴らしく、たとえば当時自分はすでにムーンライダーズを聴いていたけれど、彼らと教養は共有されているけれど屈折は共有されていないというか、私性よりも虚構性が際立っているというか、井上鑑が表現するものは常に「自己」ではなく「世界観」なのだった。これに類する音楽はたぶん他にはない。「預言者の夢」は「CRYPTOGRAM」の発売にあわせて再発、「Splash」と4thの「架空庭園論」、ベスト盤の「UNDULATION」はitunes music storeで購入できる。
・ようつべにはこんな珍しいものが。もはや影も形もない佐賀町エキジビットスペースでのライブの模様が収められている。たぶん「ベストサウンド」からの映像だろう。すべてが懐かしい。