日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

よくないひと

・あんたの冗談は毒が強すぎるというお叱りを受け、心を入れ替えて自重することにした。思えばこの種の感覚が養われたのは、確実に中学時代である。いじめられてこそいなかったものの、確実にバカにされがちなポジションであった自分だが、中学を卒業して以後、どこへ行ってもスピリットはむしろいじめっ子だ。女の子から「すごい意地悪」と泣かれたこともある。病床の祖母に「おまえの根性は曲がっている」と言われたこともある。このズレ。あの中学での三年間こそが「世間」と信じていたが、とんでもない、あの三年間の方が異常だったのである。されどなかなかこの感覚は抜けない。具体的にどんなことがあったのか、書こうとしたが書くに書けないことばかりであることに気づいた。要は公には書けないようなことによって養われた感覚なのだから、そりゃ世の人びとからすりゃキツすぎるのだろう。納得。
・その一方で、「そういう人間だからこそ、ああいうホンが書ける」という現実もある。わたしのホンを気に入ってくださるみなさん、あれはいわゆる「いいひと」には書けないホンなのです。ヤな奴とまではいかないかもしれないが(そうかもしれないけど)、たぶん自分はあんまりいいひとではないのだ。だからって開き直りませんけどね。周囲にとばっちりがいくのは本意ではないし、まあ気をつけます。
・今日はほとんど家。気分はひたすら沈んでいる。