日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

男だらけの芝居、女だらけの芝居

・九月の『視点』でご一緒する今里真くんと宮嶋美子さんがそれぞれ客演する芝居を観る。奇しくも同時期、奇しくも男しか出ない芝居と女しか出ない芝居であった。
パラドックス定数の『元気で行こう絶望するな、では失敬』は、男優二十人が奏でる青春群像劇で、星のホールを縦横に駆使して、男たちが走る、走る、走る。肉体が躍動するダイナミズムと、時の移ろいの哀しさが相まって、ラストのあれには身も心も揺さぶられた。素晴らしい。
・終演後に、今里くんから野木さんをご紹介いただく。ものすごく可愛らしい感じの方で驚く。「ファンです」と、ついに伝えられた。
劇団競泳水着の『女ともだち』は、学生時代から社会人生活に到る女同士の友情とその周辺をクロニクル的に描く。台詞も構成もおそろしく達者で、とにかく作者は大人である。「劇」小の使い方も巧い。精神年齢中学二年生、だが今日で四十二歳の自分がひたすら恥ずかしくなる。ついでと言ってはなんだが、役者もみんな上手であった。
・終演後、宮嶋さんから主宰の上野さんをご紹介いただく。当然ながら、自分よりもずっと若い方であり、軽く凹んだ。名刺を頂戴したら、鶴田さんとおなじエージェントのご所属で吃驚。狭い世界ですわ。
・そんな素敵な舞台に出演したふたりを招いて、何を作ろうか、俺。アユム君からは、チラシを入稿したとの知らせ。もう後には引けん。ミナモザには実近くんの出演も決定し、コンペに負けたくねえなという気持ちもふつふつと湧いてきた。とりあえずタイトルだけは決まっております。『クィアK』。昔書いてうまくいかなかった戯曲のタイトルのみ復活させたという次第。中身はこれからです。宮嶋さんからは「濃厚なの、頼みます」と言われてるので、まあ、そうしようかと思ってます。