日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

いつの間にか小屋入りではないか

・第二回合同稽古もつつがなく終了、ついにMUの「無い光」が全貌を現す。これが予想通りの良作で、近年のアユム君の作品のなかでも出色と言って良い。宮嶋さんもいままで見たMUのなかで断トツで面白かったですと言っていた。MUのファンの方はお見逃しのないように。
・ミナモザもわれらも先週よりも見るからにブラッシュアップしており、『視点』はハズレのない競作となった。いまはただ一刻も早くお客様の前で彼らが演じているところを観てみたい。足りないのは衆人環視のなかで演じる緊張感、それだけだからである。昨日の最終稽古はおまけのようなもので、それがないゆえ、どこか物足りないものになってしまった。ということはつまり、稽古でやるべきことはすべてやったということである。まずは初日が楽しみだ。
・『陰謀の基礎』という芝居があった。演出は磯貝だった。磯貝とウマの合う役者ばかりがそろい、稽古も順調だった。それゆえ磯貝は、本番一週間前になって、それぞれが「準備」せよと、小屋入りまで稽古はやらないと言い出した。皆驚いたが指示に従い、結果うまくいったのである。役者を信じてなければできない芸当だし、追いつめたり、消耗させたりするばかりが演出ではないのだと、あのとき知った。いつか真似してやりたいもんだと思っているが、いまのところその度胸はない。
・とまあ、そんなことを経験してるので、今回もなんの不安もないのである。三人とも実力が有り余っている。これで問題があったら、すべて高木の責任である。ただ彼らには暴れてほしい。お客様にはその姿を体感してほしい。今週は、ぜひルデコへ。お待ちしてます。