日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

1973

・午前中からディーンにて打ち合わせ。自分が原稿落としたのが原因でこの時間であるから、ただひたすらに恐縮する。これにて『さんかれあ』のシナリオ作業はすべて終了。皆様ありがとうございました。現場のご無事をお祈りしています。
春日太一の『仁義なき日本沈没』(新潮新書)を読む。東宝東映の戦後史を繙きながら概観する日本映画の現在。『天才 勝新太郎』(文春新書)も滅法面白かったが、こちらも大いに読ませる。自分も「昔はよかった」派であるが、それはあくまでも観客目線にすぎぬし、昔も昔で一筋縄ではいかなかったわけであり、まあとりあえずはいま目の前にある仕事を誠実にこなしていくしかないですよ。著者は自分より九つ下、体感では知らぬはずの時代を活写できるのはその情熱ゆえだろう。未読だった『時代劇は死なず!』(集英社新書)も購入、これはエールのつもり。