日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

『あとは寝るだけ』後考

・加藤義彦『「時間ですよ」を作った男・久世光彦のドラマ世界』(双葉社)を買う。生前のインタビューをまとめたものだが、編年式ではなく気の向くまま、思いつくまま自作について語るというスタイルを採っている。なんで買ったかというと、先日あちらに書いた『あとは寝るだけ』について、いまのところこの本がいちばん詳しいらしいと知ったからである。以下、気づいたこと、知ったことをいくつか。
・原点となった芝居は東京ヴォードヴィルショー第29回公演『いつか見た男達』。
松原敏春が売り込んだ企画だった。
高田純次がどんな役だったか記憶になかったが、「妻の不貞がきっかけで男性不能になった刑事」(同書p232)だそうである。
唐十郎・李麗仙夫妻(当時)は熱心な視聴者だった。
・そして本書でも回数は「全13話」とある。向こうにも書いたが当時の自分の記憶では「全10話」だ。打ち切りになったわけではなく、番組開始当初から全十回である旨が告知されていたと覚えている。いずれにしても当時の縮刷版を見ればすぐにわかるはずなので、暇ができたら見てこようかと。
・それよりも興味深かったのは『真夜中のヒーロー』についての記述だった。田中陽造が本格的に関わった唯一の連ドラで、タイトルだけは知ってたのだが、内容については無知だったのだ。こちらに本書からの引用がある。見ずには死ねない感じ。『悪魔のようなあいつ』だってソフト化されたからな。『あとは寝るだけ』だって『真夜中のヒーロー』だって、いつかはきっと。希望的観測を述べておく。
・画像はキネ旬別冊『テレビの黄金時代』の裏表紙裏(と言うのだろうか)にあった『あとは寝るだけ』の広告。「あんまり暗くて笑っちゃう」という軽さが八十年代的。