日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

2021-08-18から1日間の記事一覧

花咲か爺さん

むかしむかし、あるところに、ひとりのおじいさんが住んでいました。 おじいさんは一匹の黒犬を飼っていました。 それは犬というには大きすぎ、目は金色に光って、愛らしさよりも禍々しさを感じさせる生きものでしたが、おじいさんはとてもかわいがっていま…

田舎のネズミと都会のネズミ

むかしむかし、ある田舎に、一匹のネズミが住んでいました。 ネズミは土に落ちた大麦や、芋のつるを食べて、つましく暮らしていました。 ある日、都会に住むネズミがやって来て言いました。 「そんな食事はもうやめて、いっしょに都会へ来ないか。美味しくて…