日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

新春一発目に見た映画が『コブラ』だった件について

・仕事の合間に見てしまうのはもっぱら海外ドラマの録画である。隙間に見るのに時間的に適当っつうか。『デッドゾーン』の第六シーズンを見始めた。最終シーズンだとはわかってるが、一話からいきなり風呂敷畳み過ぎモードで心配になる。『CSI』は牛歩のごとく一話ずつ。毎度毎度クオリティが高くて驚く。シナリオにどれくらい時間かけてんだろう。
・ひるがえって本邦では『ありふれた奇跡』の第一話が素晴らしかった。街の空気のリアルさ。全編に炸裂する太一節。そして胸を衝くようなラストの陣内孝則の台詞。ああ、こう来るかと。主役のふたりへの関心が劇的に増幅するし、あれで続きを見ないわけにはいかない。テレビドラマって「本来」こういうもんだったよなと。世間的にどう受け止められてるのか知らないが、ひとりでも多くの視聴者に「本物」の力が伝播することを願う。
・そんななかレコーダーの肥やしになっていた『コブラ』をついつい見てしまったのだが、しょうもないながらも、それなりに面白い映画であった。近年映画に出てくる既知外は利口と相場が決まっているが、ここに出てくる既知外は徹底的に馬鹿ばかりである。既知外で馬鹿であるから、こういう連中が殺されていくのはただひたすら痛快でしかない。スタローン(脚本も担当)は大衆娯楽作品の神髄がよくわかってると思う。感情に根ざした正義はなによりも強靭也。