日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

三週間

・前回のエントリを書いてから一週間経ったのが信じられない感じ。ほんと時間が経つのが早い。来週の日曜日に納骨です。
・よせばいいのにロシア映画の『こねこ』を見る。犬とちがって猫は調教がきかないため、土台こういう劇映画に中心として出すのは無理があり、大ヒットした某作品でも何匹もの猫たちが死んでいると聞く……のだが、これはギリギリかと。何カ所か「つらいだろうなあ」と思わせる場面はあったが、猫たちはおおむね現場で大事にされていたように見える。調教できないはずの猫の調教師、アンドレイ・グズネツォフが主要キャストで出演しており、信じられないことに猫たちは芸をしている。パッケージには彼の一座の猫たちが総出演とあるがそれは間違いで、特典の解説によると彼の一座はほとんどがシャム猫で、映画に出演した猫たちは一部を除いてスタッフが集めたものを新たに手なずけたのだそうだ。監督は彼がどうやって猫たちを手なずけたのかわからないとのこと。誰もわからないだろう。猫を良く知るひとほどわからないはずである。奇跡を見る思いがする。
・いちばん気の毒だったのは食事情で、映画の中の猫たちは平気で牛乳をあたえられ、ハムやソーセージを食らっている。これ、ダメですからね。よく野良猫に焼き鳥や唐揚げあげてる人がいるけど、人間の食べるものを猫に与えてはぜったいにダメです。牛乳もペット用の物以外はダメ。国情だから仕方ないのかもしれないけど、映画に出て来たあの猫たちは短命だろう。動物愛護協会の推薦が入ってるんだけど、こういう誤解を与えかねない作品を推しちゃっていいんだろうか。猫の食事に関してはいまだに誤謬がまかり通っているので、なんとか正確な知識を周知したい。
・とはいえけっきょく泣かされたけどね。良い映画だった。グズネツォフの孤独がとても沁みた。