日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

愛する生活REMIX

・ゲネを見せてもらった。稽古は二度見学させてもらい、三度目にうかがおうと思っていた日にあの地震である。稽古場では『暗黒地帯』のときの諸々を思い出したりして勉強になった。人から言われてわからないことも、客観的に見るとよくわかるものだ。これからも積極的にさまざまな稽古場をのぞいていきたい。
・最初に台本を見せてもらったのはもう何年も前で、こうして立体化したのを見るのは感慨深い。どうしようもない人々がどうしようもない状況に抗い、だがそれもどうしようもなくて、どうしようもないままに浮遊していく。これはまさに武田浩介の世界である。ピンク時代から演芸を経て演劇に到っても、彼の描くべきことは変わらない。この一貫性こそが作家性で、彼による劇作品がひさしぶりに姿を現したことを喜びたい。
・日曜マチネまで。自分は明日の昼、本番を見る。こんな時局でなければもっと多くの人に見てもらえたのに残念だ。機会あれば武田君にはぜひ再演を狙ってほしい。