日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

ズッキーニ!

・今回の『第一短編集』で上演する『ステディ』という作品には「恋愛対象は同性のパートナー、女とは遊びで寝る、けれどあくまでも自分はゲイ、バイセクシュアルじゃない」と主張する青年が登場します。自分なりにリアリティがあると確信しながら書いたものですが、十年強前の執筆当時に発表してたらやっぱあんまり理解されなかっただろうなとこのエントリを読みながら思いました。現在の方がまだ下地が出来ているような気がする。とはいえ混乱する方はまだまだ混乱するでしょうね。
・セクシュアル・マイノリティの問題はアイデンティティの問題であります。かつセクシュアリティには無数無限の立場があります。ヘテロだから異性が好き、ゲイだから男性が好き、レズビアンだから女性が好き、そうした明確な立場のはざまに種々様々な人びとがいるのです。ここには十二の立場が紹介されていますが、自分はそれでも足りないと思います。人の数だけセクシュアリティはあると言っても過言ではない。
・こういうことを考え、作品にするのは、当然自分なりの問題意識があってのことです。『ステディ』も『クィアK』も『カップルズ』もそうでした。自分は現在「ストレート」であると認識していますが、ここに到るまでの過程というものがあり、疑いもなく自分がヘテロセクシュアルだと思っている方にはこの点がなかなか理解されません。日曜昼の回のアフタートークでは「自分の立場」について忌憚なくお話し出来ればと思っています。solaくん、なにとぞよろしくお願いいたします。