日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

三ヶ月ぶりの更新は告知

・先日、打ち合わせの帰り道、さる先輩と「書けない談義」をした。自分より数歳上のその方いわく、やはり四十代後半からだんだん書けなくなってきたという。この場合の「書けない」とは「なにを書くかはわかっているが、かたちにするのがつらい」状態をさす。「結果が見えてると『これほんとに面白いのかな』『かたちにする意味あるのかな』っておもえてきちゃうんですよね」。自分もまったくそうだ。スランプというものを経験したことはなかったが、ひょっとしたらいまの自分がそうかもしれない。
・例外があって、それが戯曲である。なぜならどんな作品になるのか、自分でもわからないで書いているからだ。事前にプロットを提出し、あれやこれやと意見をもらったうえでかたちにするシナリオとはちがい、ひとりで「未知」に挑むのはたのしい。すらすらとはいかないが、書くことには前向きになれる。
・29日のイベントでリーディングされる新作『あなたとなにを語りあったか、わたしはもう忘れてしまった』もそのように書いた。基本自分はタイトルとキャストが決まっていれば書きはじめられる。そこにはなにかがあり、物語が埋まっている。あとは掘りかえすだけである。
・今回は奥野のイベントなので、内容については事前に書かない。ひとつだけ言うと、このタイトルがどちらの女の感慨なのか、それをどうとらえるかが物語を堪能する鍵となるだろう。「あなた」が誰で「わたし」が誰なのか。
・そう、今回は奥野のイベントである。企画、会場選び、構成、キャスティング、すべて彼女がやった。自分は『ふいにいなくなってしまった白い猫のために』をすこしだけ改訂して、新作を書いただけである。俳優がセルフプロデュースをするのは素晴らしいことだと思う。自分はただそのバックアップをするだけ、できることをやるだけだ。
・おかげさまであっという間に完売したので、特にご案内はさしあげていません。当日券はキャンセル待ちのみとか。たった一日のみのイベント、贅沢な時間をお約束します。ご来場お待ちいたしております。


「鵺が、」
vol.1〜ほころぶ

8/29(月)19:00/21:00

@風知空知 下北沢

東京都世田谷区北沢2-14-2 JOW3ビル4F

(小田急線・京王井の頭線下北沢駅」南口徒歩3分)


◇浅倉洋介×奥野亮子
『ふいにいなくなってしまった白い猫のために』

福永マリカ×奥野亮子(リーディング)
『あなたとなにを語りあったか、わたしはもう忘れてしまった』 Na.生見司織


脚本/高木登
構成・演出/奥野亮子
演奏/丸川敬之(花組芝居
アドバイザー/高木登・中田顕史郎
撮影協力/橋本恵一郎
企画制作/鵺的


【料金】 2000円+1ドリンク代500円
※ご予約済みのお客様は、開演5分前までにお越しいただけなかった場合、キャンセル扱いとさせていただきます。
※当日券はキャンセル待ちのみとなります。お立見の場合は、どうかご容赦くださいませ。
※キャンセル待ち整理券につきましては、都合により、19時/21時の回ともに18時からの発行となります。
※キャンセルのご連絡は、
nueteki.official@gmail.com
鵺的 080-9656-3318(当日のみ)
までお願いいたします。