日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

七回忌

・本日は先代ぬこの命日である。丸六年目、七回忌とは驚く。わずか一ヶ月半の飼い猫だったが、その間に劇団では『サクリレギア』の公演があり、マチソワのあいだに自宅に帰って看病したりしたのを思い出す。脚本家業では『予言』と『恋風』の真っ最中だった。亡くなったのは早朝で、あのときの虚しさは筆舌に尽くしがたい。猫のために用意したものがその瞬間からすべて無用になるのである。動物病院にご報告した際、そこの先生から紹介いただいたのが現在遺骨を安置している動物霊園で、分院は自宅から歩いていける距離にある。毎週墓参に通ううちに、途中の公園に居着いている野良と親しくなった。これが現在のぬこである。おかげで喪失の痛みから立ち直ることができた。なくした愛情を埋めるのもまた愛情なのだと知った。
・そんなわけで当代ぬこはたいせつにしようと思うのだが、執筆中に相手にしないと部屋をかけずり回る、メシを食べているとわざと排便する、キーボードの上に乗ってファイルをめちゃくちゃにするなど、三歳児のごとき大暴れぶりに辟易させられることしばしば。したがって寝ているときがいちばん愛らしい。いきおい写真はこんな姿ばかりになるのです。