日日鵺的(新)

演劇ユニット鵺的と動物自殺倶楽部主宰、脚本家の高木登が年に二、三回綴る日々

無題

・被災された方々に心からお見舞い申し上げます。当ユニットに関しましては、高木、平山、加藤、いずれも皆無事です。
・東京の小劇場界も少なからぬ影響を受けています。われわれは予定していた本チラシの写真撮影を延期いたしました。宣伝美術の詩森さんはじめ、スケジュールを組んでくれていたキャストの皆さんに対して無礼を承知で申せば、この程度の被害で済んだのは僥倖でした。この時期に公演を予定していたカンパニー、劇場が苦悩の末、公演中止、公演決行の判断を下しています。それぞれが一ヶ月強の稽古の成果をお客様にご覧いただけなかった悔しさ、本来ならばご観劇いただけるはずだったお客様と出会えなかった悔しさと闘っています。そして多くの演劇人が、このような事態に直面してもなお「演劇とは何か」を問い、演劇に何が出来るかと自問し、議論し、いま自分に何が出来るかを考え、実行しています。彼らの愚直さ、真摯さに心打たれつつ、彼らと同時代に演劇というものに関わっていることを誇りに思います。自分もまた人として、脚本家として、演劇人として、なにができるかを自問し、実行していきたいと思います。まずは原稿に向かいます。それがいずれかたちになり、多くの方々に何かを与えうる表現になることを信じて、ただ原稿に向かうことにします。ただ自分の仕事をすることにします。遠く東京の地から、被災地の皆様のご無事をお祈り申し上げます。